「日本の預金は危ないから、海外の預金へ預け入れろ」
そんな声を聞いたことはありませんか?
または、
「日本の預金に預けていても金利が低くて増えないけれど、海外の預金に預けると金利が高いから増えるよ」
というものもよくあります。
では、はたして、この実態はどうなのでしょうか?
海外預金とは
海外預金とは、「外貨預金」と呼ばれるもので、海外にある銀行口座のことを言います。
イメージとしては、海外旅行に行った時に、換金をしたお金を現地で銀行に預け入れたまま、帰国したようなものです。
そのため、その国の利率でその預けられた預金は運用されます。
例えば、
米ドルでの外貨普通預金の金利は、0.01パーセント。(令和3年5月現在)
米ドルでの外貨定期預金(1年)の金利は、0.25パーセントです。(令和3年5月現在)
外貨普通預金は、自由に出し入れができるもの。外貨定期預金は、期日まで出し入れできないものです。
ちなみに、日本の普通預金の金利は、0.001パーセント。(令和3年5月現在)
定期預金(1年)の金利は、0.002パーセントです。(令和3年5月現在)
金融機関で多少前後はするかもしれませんが、だいたいこれくらいでしょう。
そう考えると、なんだか外貨預金に預けたくなっちゃいますよね?
でも!ちょっと待ってください!
外貨預金には、さまざまなリスクもあります。
メリットだけを見るのではなく、リスクも見た上で、考えるようにされてくださいね。
外貨預金のリスク
外貨預金には、さまざまなリスクがあります。
いくつかお伝えしていきます。
1.ペイオフがない
外貨預金には、基本的にペイオフがありません。
ペイオフとは、万が一銀行が潰れてしまっても、預けている金額のうち、1,000万円までは保護しますよというものです。
(詳しくはこの記事にて:https://issei0504.blog/銀行の仕組みと付き合い方/)
そのため、万が一、預け入れている海外の預金が潰れるだなんてことになった場合には、1円も戻ってきません。
実際に、外貨預金を始める際の説明資料には、ペイオフの保護対象でないということもしっかりと明記されています。
利率が高ければ高いほど、潰れるリスクというのは高まると思ってもらって良いかと思います。
高リスクだからこそ、高リターンのものが返ってくるということですね。
2.為替のリスクもある
次が為替変動のリスクです。
私たちにとっての目の前の1万円は、日本だからの価値・金額です。
海外に行くと、今のレートでその1万円は現地のお金へと変わります。
そのため、今日の1万円が明日には1.2万円になったり、0.8万円になったりすることも考えられます。
そして、これは逆も然りです。
預け入れた外貨ベースでは儲かっていたとしても、日本円に直すと、実は損をしていただなんてこともよく起こります。
また、税金面でも、外貨ならではの気をつけなければならないポイントがあります。
それは、外貨から円に換金をしたときに、その為替差額に利益が出ていた場合には、雑所得として、原則として確定申告をしなければならないということです。
単純に上がったから丸々利益というものでもない部分が外貨預金の難しいところの一つです。
3.定期預金には要注意
さて、次は換金性のリスクです。
いわゆる勘違いしてしまいがちなポイントです。
私のブログでも何度かお伝えをしているNISAを活用した積立投資などは、好きなタイミングで売却をして、お金に変えることができます。(利益が出ている、損失が出ているはおいといて)
そのため、万が一、どうしてもお金が必要になった時には、いつでもお金として自分の財布や通帳へ入れることができます。
しかし、外貨預金のうち、利率が最も良いとされる「外貨定期預金」の場合には、基本的に途中で解約することができません。
10年定期であれば、10年間はそのお金は動かせないということです。
外貨預金の種類によっては、途中解約することもできるかもしれませんが、その際には、損をしてしまう可能性が高いでしょう。
利率だけを見て、何も考えずに預けてしまうと、困ってしまうことがあるということですね。
お金の将来プランはしっかりと立ててから、使わない余剰資金の中で、投資をするようにしましょう。
4.手数料も見逃すな
最後は、手数料の話です。
外貨預金は、その性質上、必ず手数料が発生します。
そのため、単純な利益だけでは、換金をする過程の中で、結果として損をしてしまうこともあります。
手数料の金額は、事前に確認をし、その手数料の金額を払っても利益になるのかを考えてから行うようにしましょう。
深夜などに、コンビニのATMでお金を引き出すときには、手数料がかかりますよね?
あれの高い版だと思ってください。
思わぬ損失を被らないように。その部分もしっかりと計算をして、換金をするようにしてくださいね。
リスクが低くて、メリットが高いものだなんてものは無いと知っておく
これらのリスクを踏まえた上で、それでもメリットを享受するために、外貨預金を活用するというならば、それも良いとは思います。
しかし、「日本の預金は危ないから海外の預金に預けた方が良いと言われたから預けた」といったような、自分がよく分からないままで、リスクを知らないままで、外貨預金を活用することは、危険なことです。
「知らない」では、お金を騙し取られてしまうだけです。
大切なあなたのお金を守るためにも、しっかりと知識を身に付けましょう。
お金を騙し取ろうとする人は、平気で甘い言葉であなたを誘惑してきます。
そんな甘い言葉に惑わされないように。
自分の責任で、自分の頭で、判断をするようにしましょう。
また、これからの未来のことは予測はできても、確定はできません。
そのため、「必ず増えるから大丈夫だろう」といった風に、期待しすぎることは危険です。
リスクを取ることは決して悪いことではありません。
ただ、リスクを見ないことや考えないことは悪です。
もし、そのリスクが発生しても大丈夫なように、一つの方法だけに捉われすぎずに、さまざまな方法でリスクを分散するようにしましょう。
そうやって、バランスを取っていければ、うまくお金の運用もできていくかもしれません。
たくさん知って、たくさん学んで。
自分に合った方法で、お金を稼いだり、お金を増やしたり、していってくださいね。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
【参考】みずほ銀行ホームページ(https://www.mizuhobank.co.jp/rate_fee/rate_interest.html)
20代に向けて「お金の本」を執筆したり、幸せになるお金の知識を伝えたりしています!